アーチー・シェップ(Archie Shepp):シェップ節は健在です!
トシとって丸くなりましたね
若い時は怒ってました
アーチー・シェップ(Archie Shepp)が紹介される時、今でも「アヴァンギャルド」「フリージャズ」などの形容詞がついて回ります。確かに若い頃のアルバムはメッセージ性も強く、内容も当時のジャズ界にあってはぶっ飛んでいました。1960年初期のアルバムはNew York Contemporary 5に代表されるように、かなり過激にフリージャズをやっていました。しかしそれは数年のことで、60年代後半になると、メッセージ性は相変わらず強いものがありますが、演奏スタイルそのものは、今の我々から見て、ややフリー寄りではあるもののそれほど逸脱するものとは思えません。
いつも、このブログを書く時内容にふさわしい画像を探すのですが、おもしろい写真がなかなか無くって苦労します。今回はあまり苦労せずアーチー・シェップにピッタリの画像が出てきました。マーカス・ミラー(Marcus Miller)とやってますよ。それにアーチー・シェップの表情なんですが、彼の吹き方の一つの特徴、シェップ節と私が勝手に呼んでいる独特のトーンがあるのですが、そのシェップ節を吹くときの表情がこの写真の表情なんですよ。吸っているような口の形で吹くんですよ。
あ、ちょっと話が逸れてしまいました。元に戻します。
シェップとの出会い
私が初めてシェップのアルバムと出会ったのは、やはり「ジャケ買い」でした。
当時、毎週のように梅田の東通商店街にある「LPコーナー」に行ってました。友人とジャズのレコードの掘り出し物を求めて、主に廉価版や輸入物の安いレコードを中心に買い漁ってました。だから新譜のコーナーを見ることはあってもよほどのことでない限り新譜に手を出すことはありませんでした。輸入盤の新譜は国内で販売される時の価格よりも高いことも多く、逆に国内盤が出ると途端に価格が下るということもあり、新譜で興味ありのレコードに出会っても、「国内盤が出るまで待とう」ということにしていました。
ある日、何気なく輸入盤の新譜を見ていると、妙に気になるジャケットがありました。それがアーチー・シェップの「A Sea of Faces」でした。気になるので国内盤が出るまで待とうかなと思ってレーベルを見ると「Black Saint」となっています。「???」これは国内盤は出ないな、と直感的に思いました。そうなると俄然欲しくなり、安い輸入盤だったら三枚も買えるんじゃないかなという値段だけど買ってしまいました。
帰って聴くと、一発でお気に入りになってしまいました。アーチー・シェップのことは当時既に知っていました。かなり難解なイメージがあったんですが、そのレコードで聴くアーチー・シェップの音楽は多少フリーキーではありましたが、なんとも味があって、スピリチュアルなイメージも好ましく感じ、それ以降アーチー・シェップを追いかけることになります。
では、その「A Sea of Faces」から「Song for Mozanbique / poem」をお聴きください。
「A Sea of Faces」より以前
アーチー・シェップを追いかけているうちに気づいたんですが、「A Sea of Faces」がリリースされた1975年頃にアーチー・シェップのスタイルが過激なものからマイルドなスタイルに変わる過渡期であったように思います。1967年にImpulseからリリースされた有名な「The Magic of Ju-Ju」から「You're What This Day is All about」を聴いてください。加えて1969年の「Yasmina, a Black Woman」から「Rain Forest / Oleo」も合わせて聴いてみてください。
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今聴くとそれほど過激でフリーとも思えませんが、当時としては「何じゃこりゃ?」だったんでしょうね。
もう一枚、1972年リリースのシェップの代名詞みたいになった「Attica Blues」から「Attica Blues」も聴いてみてください。
- アーティスト: アーチー・シェップ,ウィリアム・クンスラー,バルトロマイ・グレイ,ワヒーダー・マッセイ,ヘンリー・ハル,ジョー・リー・ウィルソン,ジョシー・アームステッド,マリオン・ブラウン,ロイ・バロウズ,カル・マッセイ,ジミー・ギャリソン
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従来のジャズファンからすれば「もはやこれはジャズではない」というようなもんですね(笑
アーチー・シェップが優しくなるのは許さない
従来のジャズファンからは「これはジャズじゃない」と言われたアーチー・シェップには、一方で熱狂的な信奉者がいました。その熱烈なファンは「Attica Blues」あたりでその熱狂ぶりがピークになるわけですが、その後シェップの音楽はどんどん丸くなっていくことになります。それが熱狂的な信者たちは許せないという妙な現象が起きます。その後の彼への酷評は2000年リリースの「Black Ballads」あたりでピークになります。本当に勝手なものです。これは日本のジャズファンの悪癖みたいなものですね。その「Black Ballads」から「Georgia on My Mind」と「Angel Eyes」をお聴きください。
- アーティスト: Archie Shepp,Horace Parlan,Wayne Dockery,Steve McRaven
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彼にしてみれば「ほっといてくれ!!」てなもんですよね。ここでもシェップ節は健在で、マイルドな中にキラっと鋭く光るナイフをみるようでゾクゾクします。
シェップはシェップ
私のお気に入りの中からもう少しお聴きください。
「Down Home New York」というアルバムから「'round about Midnight」と「Straight Street」です。
ジャケットも演奏もカッコイイですよね。
最後に、最近の録音も聴いてください。
2011年リリースの「Wo!man」から「Nina」と「Segue」です。
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どうでしょう?
過激なシェップも丸くなったシェップも「シェップはシェップ」ですよね。そう思いませんか?
次回はチコ・フリーマン(Chico Freeman)です。