デクスター・ゴードン(Dexter Gordon):Sophisticated Giant と呼ばれた男
アメリカとヨーロッパを渡り歩いた
麻薬から逃れて渡欧
豪快なサックスを吹く印象があるデクスター・ゴードン(Dexter Gordon)ですが、彼の実像を伝え聞くと、繊細で心優しい男性であったことがわかります。また、背が非常に高かった(1m 98cm)ことでも有名です。若い頃からビバップの胎動期を、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)、ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)、バド・パウエル(Bud Powell)などとともに活動します。以来40年以上に渡りライブ、レコーディングを行いました。ただ、1950年代後半に数年のブランクがあります。これが麻薬の影響であったことは有名な話です。そういうことで環境を変えたかったのか1960年代に入るとデクスター・ゴードンもヨーロッパに渡ります。その頃同様に苦しみながらパリへと渡ったバド・パウエルと同地で共演しています。
Our Man in Paris
バド・パウエルとの共演で人気の高いアルバム「Our Man in Paris」から聴いていただきましょう。「Willow Weep for Me」と「Our Love is Here to Stay」の二曲です。
- アーティスト: デクスター・ゴードン,ピエール・ミシュロ,バド・パウエル,ケニー・クラーク
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 1994/08/31
- メディア: CD
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ヨーロッパ時代のアルバム
デクスター・ゴードンは1976年までヨーロッパで活動することになります。生涯に数多くの録音を残した彼ですが、その半分以上がヨーロッパ時代のものです。ヨーロッパ時代の前期はブルーノート、中期はプレスティッジ、後期はスティープルチェイスで録音を残しています。プレスティッジではライブ盤を除いて、録音はアメリカに帰国して行ったようです。
後期のスティープルチェイスにおいてはケニー・ドリューとも録音を残しています。その一つのアルバム「The Apartment」から「The Apartment」と「Stablemates」の二曲をお聴きください。
アカデミー主演男優賞にノミネート
デクスター・ゴードンは映画に主役で出演し、なおかつアカデミー主演男優賞にノミネートされています。ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)が監督した「Round Midnight」です。もちろん私もロードショー時点で見ましたが、なかなか面白かった記憶があります。バド・パウエルがモデルで、麻薬で苦しんでいる中でヨーロッパに移住したミュージシャンという設定だったと思います。その映画のサウンドトラックがリリースされています。そのアルバムから聴いてください。「Round Midnight (Soundtrack)」から「Body and Soul」と「Una Noche Con Francis」です。
次回はデューク・ジョーダンです。