ジョシュア・レッドマン(Joshua Redman):間違いなくメインストリーム
順調すぎるのが唯一の欠点
ジャズ界一のインテリ
ジョシュア・レッドマン(Joshua Redman)は1969年生まれです。前回のクリス・ポッター(Chris Potter)は1971年生まれですから、ジョシュア・レッドマンの方が2歳年上ということになります。これにはちょっと意外でしたが、それはともかくこの二人が同年代として今後ますます活躍していくことは間違いないでしょう。
ジョシュア・レッドマンはハーバード大学を主席卒業という超インテリということでも有名ですよね。ハーバード卒業後イェール大学の法律学院に進学しますが、セロニアス・モンク・コンペティションで優勝(ちなみに、その時クリス・ポッターは三位)してプロの道に進みます。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=LEZSSH6BLDo
二世だけれど
ジョシュア・レッドマンはデューイ・レッドマン(Dewey Redman)の息子です。父のデューイは、ファラオ・サンダース(Pharoah Sanders)やオーネット・コールマン(Ornette Coleman)、ドン・チェリー(Don Cherry)などと共演していたバリバリのフリージャズ・ミュージシャンでした。加えて、ジョシュアは、父親と一緒に生活はしたことがないということですので、ミュージシャンの血は流れているのかもしれませんが、環境的に父親の影響は受けていないようです。
前述のように、ジョシュア・レッドマンはインテリだし、ファッション系のモデルも経験する容姿端麗ということもあり、まあ華のあるミュージシャンとして順調にキャリアを積んできているということになります。
第一作から高い評価
1993年に早くも初リーダーアルバムをリリースします。のっけからグラミー賞にノミネートされるほど高い評価を受けます。その初リーダーアルバム「Joshua Redman」から「Trinkle Tinkle」と「Body and Soul」をお聴きください。
- アーティスト: Joshua Redman
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
- 発売日: 1993/05/17
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
新しい潮流のどまんなか
少し先輩になりますが、マルサリス兄弟が現れ、ジャズがフュージョン一辺倒からバップの伝統を継承する方向に進んできましたが、ジョシュア・レッドマンはその流れを引き継ぎつつ独自の路線を築いていくのではないかと期待されていました。当初から彼の周りには、クリスチャン・マクブライド(Christian McBride)、ブラッド・メルドー(Brad Mehldau)、マーク・ターナー(Mark Turner)、ロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove)、パット・メセニー(Pat Metheny)、ブライアン・ブレイド(Brian Blade)というような現在のジャズ界のメインストリームを形成する若い力が集まっていました。その中心的存在としてジャズ界内外から常に注目された存在として、まさに新しい潮流のど真ん中にいたのです。1998年リリースの「Timeless Tales (for Changing Times)」より「Visions」と「The Times They are a-Changin'」をお聴きください。
もっと期待したい
超一流のメンバーで頭のいい彼が作るサウンドですからその時点の流行の最先端のカッコイイものに仕上がっているのは間違いないのです。しかし、何か物足りなさがある。流暢すぎてかっこ良すぎて、反面「ぎょっとする」 ものがない。そういう不満が常にくすぶってしまう。そこが草の根的なクリス・ポッターとの違いのように思ってしまいます。デビュー時のモンクのコンペティションでは、クリス・ポッターに勝ったけど、今が第二ラウンドだとすると判定で負けているような気がします。決して決着はついていない。好みの問題です、はっきり言って。でも、まだまだもっと可能性がありそうで、それに挑戦していないんじゃないかというもどかしさがジョシュア・レッドマンの場合、感じるのです。今後にもっと期待したいですね。
2013年の「Walking Shadows」から「Adagio」と「Let It Be」をお聴きください。
次回はブライアン・ブレイドです。