ブランフォード・マルサリス(Branford Marsalis):お兄ちゃんはマイペース
堅実に一歩一歩ビッグネームに
実はロリンズをリスペクト
本当に凄い兄弟ですよね。前回、弟のウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)が歴史に残る的なことを書きましたが、この兄弟は「史上最も偉大な兄弟」として歴史に残るでしょう。
そんなブランフォード・マルサリス(Branford Marsalis)ですが、若い頃はソニー・ロリンズに憧れていたということを聞いたことがあります。彼の演奏を聴けば、コルトレーンの姿が浮かんでくるのですが、ロリンズだそうです。「???」と思ったのですが、ブランフォード・マルサリスの人間性を窺い知るにつれ、なんとなくコルトレーンよりロリンズかな?と妙な納得をしたりして(汗
引用元:http://www.branfordmarsalis.com/photos
ブランフォード・マルサリスの初リーダーアルバムは発売と同時に買いました。前評判も高かったし、ジャケットもカッコよかったwwんで。
聴いてみてもやっぱりカッコよかったです。若い頃聴き続けたレコードの中の一枚です。初リーダー「Scenes in the City」から「No Backstage Pass」と「Waiting for Train」をお聴きください。
スティングのサイドマン
彼の初リーダーアルバムを買った頃、それとは全然別にもう一枚愛聴盤がありました。ジャズではなく、スティング(Sting)の「ブルータートルの夢(The Dream of the Blue Turtles)でした。スティングはポリス(The Police)時代からのファンで、ソロアルバムを出すというので一も二もなく手に入れたアルバムでした。これはブランフォードとは関係なく毎日のように聴いていたんです。ただ、バックで流れるサックスがやたらジャジーでカッコよくって気にはなっていました。普段、ロックやポップスのレコードを聴くのにライナーノートやパーソネルを見ることはないのですが、やっぱりサックスが気になってちょっと見てみたんです。そうしたら、何とサックスはブランフォード・マルサリスとなっているではありませんか。正直びっくりしました。
その後のスティングとブランフォードの関係をみてみると、スティングにはブランフォードはなくてはならない相棒であるという認識が生まれつつあったのかなと思いますね。ブランフォードにとってもジャズファン以外にブランフォード・マルサリスというサックス奏者の存在を認識させるのには良かったのかなと思います。最初は一人のサイドマンとしてだったのが、後年のスティングのコンサートのライブ映像を見ると、まるで大物ゲストの登場みたいに扱われていますから、この関係は両者にとってベストなものだったようです。
では、「ブルータートルの夢」から「Children's Crusade」と「Shadows in the Rain」の二曲です。
互いにサポートする兄弟
ブランフォード・マルサリスも順調にキャリアを積み重ねていきます。ウイントンほどのハイペースでアルバムづくりはしていませんが、毎年1~2枚のペースで着実に発表していきます。その頃の彼ら兄弟は、お互いのアルバムに必ずと言っていいほど参加してサポートし合うという仲の良さです。これはブランフォード・マルサリスの人柄の良さに負うところが大きいのではないかと思います。
郷土愛と伝統を尊ぶ
彼ら兄弟に共通している姿勢として、アメリカ南部への郷土愛と、そこで生まれた音楽やミュージシャンへの尊敬の心を大切にしていることです。1992年にブランフォード・マルサリスは「I Heard You Twice the First Time」を発表。ブルースの大御所達との共演を果たしました。見事にグラミー賞に輝きました。このアルバムから、B.B.キング(B.B. King)と「B.B.'s Blues」、ジョン・リー・フッカー(John Lee Hooker)と「Mabel」をお聴きください。
I Heard You Twice the First Time
- アーティスト: Branford Marsalis,B.B King,John Lee Hooker,Russell Malone,Wynton Marsalis,Linda Hopkins,Kenny Kirkland,Robert Hurst,Jeff "Tain" Watts
- 出版社/メーカー: Columbia
- 発売日: 1992/09/08
- メディア: CD
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2000年にも「Contemporary Jazz」というアルバムでグラミー賞を受賞しているのですが、残念ながらこちらのアルバムはアップルミュージックでは聴けませんので、アマゾンだけ貼っておきます。
- アーティスト: ブランフォード・マルサリス・カルテット,ブランフォード・マルサリス,ジョーイ・カルデラッツォ,エリック・レヴィス,ジェフ“テイン”ワッツ
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 2000/08/23
- メディア: CD
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ミュージシャンズ・ヴィレッジ
2005年8月末にアメリカ南部を襲ったハリケーン・カトリーナはブランフォード・マルサリスの故郷にも甚大な被害をもたらしました。そこで、その年の年末、同郷のミュージシャンで俳優のハリー・コニック・ジュニア(Harry Connick Jr.)とともにニューオリンズの音楽的遺産を回復するプロジェクトを立ち上げました。手始めとして「ミュージシャンズ・ヴィレッジ」計画を発表しました。それは、ブランフォードの父エリスが経営する施設「Ellis Marsalis Music Center」を中心に住宅を建設し、地元で被害にあったミュージシャンに住宅を提供するというものです。
その他、2002年には父親と共同で自主レーベル「Marsalis Music」を立ち上げています。それでは、2002年にリリースした自主レーベル初のアルバム「Footsteps of Our Fathers」から二曲お聴きください。「Giggin'」と「A Love Supreme, Pt. 1: Acknowledgement」です。
このアルバム・タイトルの「Fathers」はコルトレーンを始め、ジャズの先達たちであることは言うまでもありません。
では、最後に最近の録音からお聴きください。2014年のソロアルバム「In My Solitude: Live at Grace Cathedral」から「Stardust」と「Blues for One」の二曲です。
次回は、ブランフォードが敬愛してやまないソニー・ロリンズです。