クリスチャン・マクブライド(Christian McBride):若きヴァーチュオーゾ
ジャズベース界の中心的存在
ベースの立場
現在のジャズにおけるベースというパートの立場はバップジャズにおけるそれと比較にならないほど重要なものとなっています。あの時代のベースとドラムはあくまでもリズムのキープとコード上のアンサンブルとしての役目により演奏の厚みをつけるという補助的な役割で影で支えるというパートでした。もちろん重要なパートであったことは言うまでもありませんが。しかし、現代のジャズにおいては影から躍り出て曲の色を左右するフロント楽器としての役割を果たす場合が少なくありません。これはバップからフュージョンに止揚した時点でステップアップしたことと、ペデルセン(Niels-Henning Ørsted Pedersen)やロン・カーター(Ron Carter)のような逸材がジャズシーンに数多く輩出されたことが相乗的に作用した結果だと思います。そして、ここにまたクリスチャン・マクブライド(Christian McBride)という才能が出現しました。
既にヴァーチュオーゾ
クリスチャン・マクブライドは1972年生まれですから、現在40歳そこそこです。ですが、既にヴァーチュオーゾに列せられています。そして同世代のミュージシャンの中では比較にならないぐらい多くのレコーディングに参加しています。その数300をゆうに超えていると言います。もちろん同世代のミュージシャンよりも早くからプロ活動していたこともありますが、それにしてもものすごい数です。彼は、ジャズにとどまらず、ヒップホップ、ソウル、その他のポップ・ミュージック、ジャンルを問わず声がかかってきました。そして既に5回もグラミー賞を受賞しています。
当然、今の若いベーシストは彼に憧れ、少しでも近づきたいと思っているわけです。私の知り合いの若いベーシストもご多分に漏れずなんですが、ある日来日した彼のステージに行き、何と目の前で彼のプレイを鑑賞する栄誉を得たらしいのですが、その時のことを「人間技ではありません、絶対に無理です!!」と言い切りました。
クリスチャン・マクブライドの活動初期、1991年にリリースされた、ゲイリー・バーツ(Gary Bartz)の「Shadows」から「Marion's Theme」と「Shadows」の二曲をお聴きください。
既に出来上がっているのを感じます。ここで、ベニー・グリーン(Benny Green)と一緒ですが、この頃二人はよく一緒にやっていたようです。
2002年の録音(リリースは2003年)の「Vertical Vision」から「Technicolor Nightmare」と「Precious One」の二曲をお聴きください。
- アーティスト: Christian Band Mcbride
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このアルバム制作の頃の彼のバンドのピアニストはジェフリー・キーザー(Geoffrey Keezer)です。このように彼は自分自身のアルバム制作には同世代のトップミュージシャンを起用します。
そのような流れでわが小曽根真氏とも組んでいるんですね。さすがですね、小曽根さん!と妙な方向で感心します。2012年リリースの「My Witch's Blue」より「My Witch's Blue」と「Satin Doll」です。
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夢の競演
最後に、次回へ繋げる余興として、映像を観てください。クリスチャン・マクブライドとペデルセンの競演です。有名な画像ですので観たことがある方もいらっしゃるとは思うのですが、まだの方は是非お楽しみください。新旧二大ベーシスト、二大ヴァーチュオーゾの夢の競演です。
Niels-Henning Ørsted Pedersen & Christian McBride - Bye-bye Blackbird. Composed by Ray Henderson.
ということで、次回はペデルセンです。