ジョー・パス(Joe Pass):ギター芸人に徹した生涯
多くの共演者を引き立てました
脇役の見本
ギターって、ロックなんかでは一番中心となる楽器ですよね。ロックに限らずポップスというような洋楽の大半では中心で目立つ存在です。ところが、ジャズに限っては少し地味で脇役的存在になっています。パット・メセニー(Pat Metheny)やスタンリー・ジョーダン(Stanley Jordan)などが現れて多少目立ってきたようにも思われますが。ジョー・パス(Joe Pass)はまさにその見本のような人で、決して目立たず主役を引き立てるような演奏をするまさにジャズ・ギター芸人でした。私はギターのテクニック的なことは全くわかりませんが、ジョー・パスのギターは超絶技巧だそうです。実際教則本を書いたりされているみたいですね。
引用元:http://okmusic.jp/musichubz/artists/7574/images
20代は刑務所暮らし
ジョー・パスはシシリー系移民の出身です。ゴッド・ファーザーの世界の方ですね。あまり関係ないですけど(汗。彼は32歳のレコード・デビューです。意外なほど遅いデビューですよね。これにはわけがあります。20代の頃は麻薬におぼれて長期間を刑務所暮らし、出所後も麻薬療養施設生活が続きました。その施設の名前がシナノン(Synanon)といい、彼のデビュー・アルバムが「Sounds of Synanon」となるわけですね。その後は順調にレコーディングをこなし、ダウンビート誌の新人賞を受賞したりします。その頃のアルバム「For Django」からお聴きください。「For Django」と「Fleur D'ennui」です。
- アーティスト: ジョー・パス,ジョン・ピサノ,ジム・ヒューアート,コリン・ベイリー
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2014/10/08
- メディア: CD
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ギター・ソロという冒険
ジョー・パスといえばやっぱり「Virtuoso」での成功ですよね。順調にキャリアを重ねていたジョー・パスですが、ノーマン・グランツ(Norman Granz)が立ち上げたレーベル、パブロ(Pablo Records)と契約します。そして「Virtuoso」のリリースが実現したのです。ジャズ・ギター・ソロというパブロならではの冒険で、ジョー・パスだからこそ実現した企画です。では、そのアルバムから「Stella by Starlight」と「Cherokee」の二曲をお聴きください。
やっぱり脇役が渋い
でも、でも、やっぱりジョー・パスは主役を引き立ててこそのジョー・パスで、それが渋くてカッコイイんですよね。数えきれないほど大物の脇役を多数こなしてきましたが、その中からエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)を選んでみました。1986年リリースの「Easy Living」の「My Man」と「Easy Living」です。お聴きください。
次回はウルフ・ワケニウスです。