ダニーロ・ペレス(Danilo Perez):音楽の神に愛された男
パナマの英雄
ショーターを支えた強者
ダニーロ・ペレス(Danilo Perez)は1965年にパナマで産まれました。現代ジャズミュージシャンの多くがそうであるように、彼の音楽への入り口はクラシック音楽でした。20歳でアメリカに渡りバークリー音楽院に学ぶことになり、ジョン・ヘンドリクス(Jon Hendricks)やテレンス・ブランチャード(Terence Blanchard)等と共演します。その後もウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)を始め数々の大物ミュージシャンと共演しています。2000年にはベースのジョン・パティトゥッチ(John Patitucci)、ドラムのブライアン・ブレイド(Brian Blade)とともにウエイン・ショーター・カルテットの一員となり一気にジャズジャイアンツの一員に名を連ねることになります。
引用元:http://www.beethovenfm.cl/festival-chile-jazz-por-la-paz-con-danilo-perez/
フットプリンツ
ウエイン・ショーター・カルテットは「フットプリンツ(Footprints)」というネーミングでスタートしました。当初はウエイン・ショーターのカリスマ性に負うところもあり話題となりましたが、ファースト・アルバムの「Footprints Live!」が2002年にリリースされるや、ウエイン・ショーターのみならず、メンバー全員のとてつもない音楽性の高さやグループとしての完成度の高さから一気にショーター以外のメンバーにも注目が集まりました。ダニーロ・ペレスもこの時に初めて我が国のジャズファンに広く知られる存在となったわけです。
このエポックメイキングとなったアルバム「Footprints Live!」から「Sanctuary」と「Ju Ju」の二曲をお聴きください。
- アーティスト: ウェイン・ショーター,ダニーロ・ペレス,ジョン・パティトゥッチ,ブライアン・ブレイド
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2002/05/09
- メディア: CD
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ものすごいアンサンブルですよね。私自身、このバンドと出会ったのはYouTubeでした。ダニーロ・ペレスともそこで初めて出会いました。衝撃的だったことを覚えています。
ポスト・チック、ポスト・ハービー
現在のジャズピアノ界の二大巨匠と言えば、「チック・コリア」と「ハービー・ハンコック」ということになりますが、彼らを論じる時話題となるのは「ポスト・チック・コリア」、「ポスト・ハービー・ハンコック」は誰だ?ということです。そんな時、必ずといって名前があがるのが「ダニーロ・ペレス」です。単にテクニックが優れている、音楽的に高度であるというだけでなく、人間的に大きなものを持っている、音楽界全体を牽引する影響力がある、後進に対する優れた指導力、こういうものを兼ね備えていないと、チックやハービーの後継者になり得ないことは明らかです。
2015年にリリースされその年の最高傑作と評されたアルバム「Children of the Light」からお聴きください。「Children of the Light」と「African Wave」の二曲です。
チルドレン・オブ・ザ・ライト [日本語帯/解説付] [輸入CD]
- アーティスト: ダニーロ・ペレス,ジョン・パティトゥッチ,ブライアン・ブレイド
- 出版社/メーカー: Mack Avenue / King International
- 発売日: 2015/09/18
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もちろんウエイン・ショーター・カルテットにおけるリズム隊だけでのアルバムですが、ウエイン・ショーターが加わっている際の緊張感は薄れているもののそれが却って三人の本来の個性をより表面に出してウエイン・ショーター・カルテットとは若干異なる躍動感があります。
パナマに生まれて
冒頭に述べたように、ダニーロ・ペレスはパナマ人です。彼のことを「パナマの英雄」と評した表現を目にしたこともあります。
そんな彼が故国パナマに捧げた大作「Panama 500」をから聴いていただきましょう。「Panama 500」と「The Canal Suite: Melting Pot (Chocolito)」の二曲です。
タイトルの数字「500」の意味は、スペインの探検家バスコ・ヌーニェス・デ・バルボア(Vasco Nuez de Balboa)がパナマ地峡から太平洋にたどり着いて「ヨーロッパ人における太平洋の発見」と称されてから500 年経過していることからきています。
まだまだアルバム数はそれほど多くないダニーロ・ペレスですが、今後の活躍が期待され目が離せない存在です。