セロニアス・モンク(Thelonious Monk)がいたからジャズはおもしろくなった
ジャズに無限の可能性を与えたんだ
へそまがりなんだろうね
どんな世界にも現状否定したがる人っているものです。みんながワイワイ「そうだそうだ、これがいい、あれがいい!」と和気あいあいで盛り上がっている時、それを横目で睨みながら「そうかな~、そんなのよりこっちの方がいいと僕は思うよ」とみんなの総意を多少フェイクして異論を唱えるやつ、いるよね。そんな奴だったんでしょうか、モンクって?俗にいう「へそまがり」です。この「へそまがり」にも二種類タイプがあります。「否定のための否定」をするタイプと「本当に自分の方がいい」と信じるタイプの二種類です。前者は「天邪鬼」と別名言われます。後者は「変人」あるいは「天才」です。セロニアス・モンク(Thelonious Monk)はもちろん後者で「天才」です。
引用元:http://ktru.org/on-the-sunday-jazz-show-feb-7th-thelonious-monk-straight-no-chaser
またまた、ジャケ買いです
私が初めて買ったセロニアス・モンク(Thelonious Monk)のアルバムは「Monk's Dream」でした。何故このアルバムなのか?前回のバド・パウエル(Bud Powell)の稿で、初めて買ったバドのアルバムは「Swingin' with Bud」と書きましたが、そのジャケットと似ていたからです(笑。これ、まじな話です。「Swingin' with Bud」を買ってすぐのことです。ジャズ初心者の私は、初心者にありがちの「何から聴けばいいの?」という悩みを徹底して「ジャケ買い」で解決していたのです(汗。ジャケットを見比べてください。横顔の大写しというただそれだけですが(笑。
では、その中から「Blues Five Spot」と「Bye-Ya」をお聴きください。
後に聞いた話ですが、アメリカ国内では、このアルバムが一番売れたそうです。久しぶりに聴いてみると、チャーリー・ラウズ(Charlie Rouse)とモンクの息がピッタリ合って気持ちが良いアルバムだと改めて思いますね。
ロリンズ、コルトレーンとの共演
上記のチャーリー・ラウズだけがモンクと時々組んで録音しています。その他のサックス奏者とはレギュラー的に組むことはありませんでした。二大テナーのロリンズ(Sonny Rollins)とコルトレーン(John Coltrane)とも一緒にやっています。面白いので聴き比べてみましょう。まずはリバーサイド時代の初期のアルバム「Brilliant Corners」から「Ba-Lue Bolivar Ba-Lues Are」と「I Surrender Dear」の二曲をお聴きください。
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このアルバムについて、ジャズ評論家の方々は「難解なアルバム」と言っておられますが、私はそんなことないと思っています。難解なイメージを与えてしまっているのは、ロリンズがモンクのフリーキーなコードに対応しようとしてややこしい音使いをしているからだと思っています。結局ロリンズがモンクに引きづられる結果ややこしくしているだけだと思います。
私はジャズが「勝った負けた」のある音楽だと考えます。だから面白いんだと。特にライブやセッションでは「勝負する」という感覚があります。アルバムではあまり露骨に「勝った負けた」が出てしまうと、商業的見地から他にも影響が出るので、複数テイクを録音して一番「勝負がつかなかった」テイクを採用している気がします。後にフュージョンが盛んになると、この勝負感覚が希薄になって、そのことでおもしろくないというコアなジャズファンが出たように思います。
つまり、「Brilliant Corners」ではロリンズがモンクに負けた結果、難解と思わせる結果になってしまったと考えます。
次に、コルトレーンがモンクに勝負を挑んだアルバム「Thelonious Monk with John Coltrane」から「Tinkle, Tinkle」と「Nutty」をお聴きください。
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「Brilliant Circles」と同時期に録音されているのに、こちらは落ち着いていることがわかります。モンクの演奏には変化はないのですが、全体的な雰囲気が全然違います。これは、コルトレーンがマイペースを崩さず見事にモンクに勝っている結果です。
結局この三つ巴の勝負は、「コルトレーン > モンク > ロリンズ」という結果になったと私の勝手な審判です。
ソロ・アルバムが多い
当時の新進気鋭の二人ですら一勝一敗ですから、やはり共演者は苦労したんだと思います。その結果かどうか、ソロ・アルバムが多くなります。そんなソロ・アルバムからお聴きください。「Thelonious Himself」から「April in Paris」と「I should Care」です。
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次回は、今気になるピアニストについて少し語ります。