ドルフィーのバスクラを聴け

ジャズ(Jazz)を中心とした洋楽を、アップルミュージック(Apple Music)で聴けるように紹介していきます。

クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)他(etc.):夭折した天才たち

記憶とアルバムの中で生き続ける

美人薄命

「美人薄命」と申します。また、「天才は夭折する」という言葉もあります。そんなことは限らないとはわかっていても、惜しまれつつ、若くして亡くなる天才たちは古今東西、枚挙にいとまがありません。

夭折というのは一体何歳までに亡くなれば「夭折」というのでしょうか?将来を期待されていたなら、天寿をまっとうするまでに亡くなれば「夭折」というのでしょうか?例えば、ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)は40歳、エリック・ドルフィーEric Dolphy)は36歳で亡くなりました。早すぎる死で惜しまれています。しかし、ここでは「夭折した天才」というのは20代で亡くなった天才たちということにいたしましょう。

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引用元:https://wallpaperscraft.com/download/clifford_brown_pipe_jacket_play_hands_7516/3840x2160

 オースティン・ペラルタ(Austin Peralta)

次の画像を観てください。


Austin Peralta Live @ Tokyo Jazz

彼はこの時16歳でした。東京JAZZを楽しんでいた日本のジャズファンの度肝を抜きました。「何という天才少年が現れたんだ!」と大騒ぎでした。

次の画像を観てください。


Goodbye Porkpie Hat Austin Peralta's Last Performance

彼はこの画像の翌日亡くなりました。22歳でした。死因は薬物とアルコールの過剰摂取とか言われていますが、結局発表されなかったようです。

オースティン・ペラルタの数少ないアルバムから聴いてください。「Endless Planets」から「Capricornus」と「Ode to Love」です。

 

Endless Planets (BFCD014)

Endless Planets (BFCD014)

 

 

Capricornus

Capricornus

  • Austin Peralta
  • ジャズ
  • ¥150

 

Ode to Love

Ode to Love

  • Austin Peralta
  • ジャズ
  • ¥150

 なんか、悲しくなりますね。つい最近のことですもの。

クリフォード・ブラウンClifford Brown

やっぱ、「夭折の天才」ってタイトルはクリフォード・ブラウンClifford Brown)にピッタリですよね。クリフォード・ブラウンは1930年生まれですからソニー・ロリンズSonny Rollins)と同い年だったということになります。だから何もなければ今も存命であった可能性だってあったわけです。

チャーリー・パーカーCharlie Parker)に認められ、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)の再来と言われました。そのファッツ・ナヴァロも26歳という若さで亡くなっていますから、わかっていたら「そんな縁起でもない」と言えたんでしょうけど・・・。

1956年6月26日にバド・パウエルBud Powell)の弟リッチー・パウエル(Richie Powell)とともに交通事故死しました。クルマはリッチー・パウエルの妻が運転していました。リッチーは当時クリフォード・ブラウンのグループでピアノを弾いていました。リッチーも24歳という若さでした。彼も兄のバドにひけをとらない優秀なピアニストでしたから一挙に二人の天才ジャズメンが失われたという悲劇です。特にクリフォード・ブラウンは稀有の才能として、当時早くも10枚前後のレコーディングをしており、そのいずれもが名盤中の名盤と現在でも高い評価を得ています。そんな彼のアルバムの中から「Study in Brown」より「Cherokee」と「George's Dilemma」をお聴きください。

 

Study in Brown

Study in Brown

 

 

Cherokee

Cherokee

 

George's Dilemma

George's Dilemma

 なお、このアルバムでのテナーサックスは、ソニー・ロリンズではなくハロルド・ランド(Harold Land)です。

ブッカー・リトルBooker Little

ブッカー・リトルは1938年4月2日に生まれ1961年10月5日に尿毒症の合併症で亡くなりました。彼はクリフォード・ブラウンの再来と言われました。何という皮肉な運命でしょう。夭折したファッツ・ナヴァロの再来と言われたクリフォード・ブラウンが若くして逝き、その再来と言われたブッカー・リトルが23歳という若さで惜しまれつつこの世を後にしたのですから。それぞれ亡くなった原因は異なりますが「天才は夭折する」というのは、こういう現実を見るとさもありなんという感を私たちに与えます。

特にブッカー・リトルは、エリック・ドルフィーというもう一人の天才を、自分の生涯がつきかけているその一瞬において華々しく輝かせたという、類稀かつ偉大な所業をやってのけただけに、その早すぎる死は、後世のそれも異国の地にいるこの私にしても痛恨のことと言わざるを得ません。

それではお聴きください。アルバム「Booker Little」から「Opening Statement」と「Minor Sweet」です。

 

COMPLETE QUARTET RECORDINGS

COMPLETE QUARTET RECORDINGS

 

 

Opening Statement

Opening Statement

 

Minor Sweet

Minor Sweet

 まだまだ他にも夭折の天才ジャズ・ミュージシャンは沢山います。スコット・ラファロScott LaFaro)25歳、チャーリー・クリスチャンCharlie Christian)25歳、ソニー・クラークSonny Clark)31歳、等が有名です。少し年齢を上げれば、リー・モーガンLee Morgan)33歳、ポール・チェンバースPaul Chambers)33歳、チャーリー・パーカーCharlie Parker)34歳、アルバート・アイラーAlbert Ayler)34歳、ジャコ・パストリアス(Jaco Patorius)35歳、ミシェル・ペトルチアーニMichel Petrucciani)36歳、そしてエリック・ドルフィー36歳、等々きりがありません。

今さらながら、ご冥福をお祈り申し上げます。

次回は、41歳と年齢的には夭折の範囲に入る天才中の天才、バド・パウエルです。