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ドルフィーのバスクラを聴け

ジャズ(Jazz)を中心とした洋楽を、アップルミュージック(Apple Music)で聴けるように紹介していきます。

ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean):時代に対して正直に生きたんだね

サックス

私はジャッキー・マクリーンを知らなかった

かたよった印象

今回この稿を書くにあたって、私はジャッキー・マクリーンJackie McLean)というジャズマンの仕事を見返してみました。そうすると、今までジャッキー・マクリーンのことを何も知らなかったことに気づきました。

ジャッキー・マクリーンといえば、まず「レフト・アローン(Left Alone)」での哀愁ただようアルト・サックス、「クール・ストラッティン(Cool Struttin')」のファンキーでカッコイイ演奏、ハード・バップ屈指のエンタテイナーという印象があって、その手のミュージシャンは嫌いじゃないけど、真剣に追いかける気もなく、鳴っていたら「あぁ、さすがジャッキー・マクリーン、達者だね」くらいにしか取り合ってきませんでした。

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引用元:http://www.npr.org/artists/15284016/jackie-mclean

ハードバップの申し子

ジャッキー・マクリーンは、ハイスクール時代に既にソニー・ロリンズSonny Rollins)やケニー・ドリューKenny Drew)らと共演するほどの腕前で、プロになると、マイルスのレコーディングに参加、ミンガスの「直立猿人(Pithecanthropus Erectus)」にも参加。まさにハードバップの申し子の活躍でした。その頃のアルバム「4, 5 and 6」から「Why was I Born?」と「When I Fall in Love」の二曲をお聴きください。

 

4,5&6

4,5&6

 

 

Why Was I Born?

Why Was I Born?

 

When I Fall In Love

When I Fall In Love

 フリージャズへの傾倒

ハードバッパーとしてのジャッキー・マクリーンの印象が強すぎて、彼が変化していくことに私は気づいていませんでした。徐々にフリージャズ的なアプローチを取り入れるようになり、ついには1967年にオーネット・コールマンをバックにかなり突っ込んだアルバムもリリースするようになります。そこに至る過程で1962年にリリースした「Let Freedom Ring」から「Rene」と「Omega」をお聴きください。

 

レット・フリーダム・リング

レット・フリーダム・リング

 

 

Rene

Rene

 

Omega

Omega

 これを聴いて「あれ、知らなかったよ!」と思いました。結構おもしろい演奏するんだね、今までの彼の印象とは全く異なるものを感じます。

教育者としてのジャッキー・マクリーン

オーネット・コールマンとの共演を果たした頃から、しばらくジャッキー・マクリーンはレコーディングから遠ざかります。これは、当時は「引退したのかな?」と一部思われていました。実は、彼はその頃ハートフォード大学で教員として働き、同時に妻と共同で設立したカルチャーセンター「アーティスト・コレクティブ」での仕事に追われ、とてもミュージシャンとしてレコーディングする余裕がなかったというのが実情のようです。後にハートフォード大学のアフロ・アメリカン音楽学部の学部長までやったそうです。こういう教員時代になる前から、彼は若いミュージシャンを育成することに熱心だったようで、前回のチャールズ・トリバー(Charles Tolliver)もその一人だったというわけです。

原点回帰、そしてブレイクスルー

デンマーク発のレーベル、スティープルチェイス(SteepleChase)は1972年に設立されました。その第一号となったのがジャッキー・マクリーンの「Live at Montmartre」です。そしてそのアルバムがジャッキー・マクリーンの復帰第一作でした。第一線から退く直前には、先程も紹介したようにアヴァンギャルドの方向に傾斜していったジャッキー・マクリーンは、スティープルチェイスで復活した時、ゆったりとして角のとれた、まるで原点回帰したような演奏に戻っていました。

そのアルバムから「Smile」と「Confirmation」をお聴きください。

 

Live at the Montmartre

Live at the Montmartre

 

 

Smile

Smile

 

Confirmation

Confirmation

 私は、このアルバムがリリースされた頃、リアルタイムでジャズにはまっていました。ジャッキー・マクリーンは、私がジャズを聴き始めた頃は第一線から退いていた時と合致します。そして、このアルバムが「ジャッキー・マクリーンが復帰第一弾!」という触れ込みで結構騒ぎになったことを覚えています。その頃、ジャッキー・マクリーンの名前はこの稿の最初でも述べたように「レフト・アローンとクール・ストラッティンのジャッキー・マクリーン」という認識しかありませんでしたから、このレコードやこれからしばらくスティープルチェイスでリリースされた彼のレコードは「良質のハード・バップ」という目で見ていました。だからその後の彼の動きを全く知りませんでした。今回この稿を書くにあたって、この後の彼の録音を初めて聴きました。正直ショックでした。「え~、何これ!聞いてなかったよ(笑」

完璧に今の熱いニューヨークジャズの萌芽はジャッキー・マクリーンにあったんだ!と気付かされたのです。先ほどの「Live at Montmartre」からわずか三年後にリリースされた「New York Calling」というアルバムがあります。全くの別物です。完全にブレイクスルーしています。「New York Calling」と「Some Other Time」の二曲をお聴きください。

 

New York Calling by Jackie McLean, The Cosmic Brotherhood (2010-01-01) 【並行輸入品】

New York Calling by Jackie McLean, The Cosmic Brotherhood (2010-01-01) 【並行輸入品】

 

 

 

 今回、反省しています。こうして見てくると、ジャッキー・マクリーンは、その時代々々を正直に対応して演奏スタイルを変化させていったんだなと気付かされました。まだまだ抜けている重要なミュージシャンがいるんだなと痛感しました。このブログを書くことでそれに気づくことが出来ました。今後も食わず嫌いはやめて、色々なジャズを紐解いていきたいと思う今日このごろです(笑

次回は「レフト・アローン」つながりでマル・ウォルドロンMal Waldron)です。