エヴァンスのベクトルは内に向かっている
エヴァンスの人生は時間をかけた自殺だった
何故ウエストコーストに行かなかったの?
「マイルス学校」の卒業生を語るには避けて通れない人物、ビル・エヴァンス(Bill Evans)です。
正直、あまり好みではありません。これは仲間内では有名な話(汗。
引用元:http://vivienne2013.blog.fc2.com/blog-entry-7.html
あ、誤解しないでください。嫌いじゃないですよ。好みじゃないというだけです。だから、あまり聴いてこなかったというのが正直なところです。
もちろん、素晴らしいピアニストの一人であるという認識はあります。でも、ピアニストって一番多いじゃないですか。もっと好みのピアニストが有り余るほどいるわけです。だから、聴こうとすると自然と自分の好みで選んでしまうのです。
言い訳はこれぐらいにして、エヴァンスの話をしましょう。
先日、友人のジャズギタリストneaさんとラジオ番組をやった帰りのことです。neaさんに素朴な疑問をぶつけてみたんです。
私:エヴァンスは何故ウエストコーストに行かなかったんだろう?
neaさん:なんでそんなこと思うの?
私:だって、マイルス(Miles Davis)のグループにいた時、白人ということで差別されたんでしょ?その結果早くマイルスグループを退団することになった。ウエストコーストへ行ったら白人ジャズマンとして気持ちよくやれたんじゃないのかな?
neaさん:彼はインタープレイをやりたかったんだよ。ウエストコーストで、チェット・ベイカー(Chet Baker)なんかとは無理だよ。出来ないよ。東海岸でマイルスなんかとインタープレイしたかったんじゃないの?
私:ウエストコーストへ行ってインタープレイやるように仕向けたらよかったじゃん?
とかなんとかわかったようなわからんような話をしとったわけです(笑
ベクトルが内に向く
どうも、ベクトルが内向きで、ブラックホールのように落ちていくのがエヴァンスなんですよね。叙情的な雰囲気で内に内に・・・それがたまらないと感じる方が多いつうことでしょうか。
さて、エヴァンスといえば「Waltz for Debby」ですよね。私も持っていましたが、友人の持ってる別のレコードと交換しました(笑。
その中から一曲お聴きください。「Milestones」です。
- アーティスト: ビル・エヴァンス,スコット・ラファロ,ポール・モチアン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2014/10/08
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (4件) を見る
薬漬けで歯がボロボロ
有名な話ですよね。笑うと歯が見えるから笑った写真がないらしいです。晩年、長髪でもじゃもじゃヒゲ、スモーク眼鏡というイメージチェンジをしたのは、長年の麻薬常用で健康が損なわれ、顔に顕著なむくみがあったのでそれを隠すためだったということも言われています。
その結果、持病としての肝臓疾患がありました。しかし、治療や療養を拒み続けたと言います。
「彼の死は時間をかけた自殺」でした。
エヴァンスの曲をもう一曲。「Sunday at the Village Vanguard」から「My Man's Gone Now」
- アーティスト: ビル・エヴァンス,スコット・ラファロ,ポール・モチアン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2014/12/03
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (1件) を見る
悲しい話ですよね。そういう話を前提として彼の演奏を聴くとしみじみ感じるところがありますね。
同時代のピアニスト
ビル・エヴァンスより少し若いピアニストですが、白人で風貌がエヴァンスに似ていることでその昔ジャケット買いしたピアニストにスティーブ・キューン(Steve Kuhn)がいます。
ジャズを聴き始めた頃、ビル・エヴァンスを勧められて聴いたんだけど、なんかピンと来なくて、なんだかなぁ~と思っていた時、レコード屋でレコードを漁っていたら「あれ?これ、エヴァンス?」と思って取り上げたレコード。それが妙に気になって買ったんです。それがSteve Kuhnの「Childhood is Forever」でした。白人で風貌が似ているということだけだったんですけど、そのレコードに針を落としてびっくりしました。エヴァンスで「何か違うな」と思って消化不良になっていたのが一気に解消した気になりました。
お聴きください。アルバム「Childhood is Forever」から「The Night Has a Thousand Eyes」
- アーティスト: Steve Kuhn,Aldo Romano,Steve Swallow
- 出版社/メーカー: Charly
- 発売日: 1999/07/01
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
オリジナルのジャケット写真がないですね。
オリジナルジャケットの画像だけ貼っておきます。
さてさて、今回はこれくらいで。次回もマイルス学校卒業生です。